「これは我がレイリーゼ王家に代々伝わるティアラで王妃にしか身に付ける事を許されない」
ジェイドはティアラを手に取りアリアの頭に乗せた。
「やはり良く似合う」
「そのような大切なもの……よろしいのですか?」
「アリアは王妃になる。当然だろう」
「私が、王妃……?」
「そうだ」
「ですが、他の……その……」
「あの女達は違う。アリアが気にする必要はない」
「……はい」
アリアはティアラを身に付けた自分を鏡で見た。
こんなに美しいティアラを見たのは初めてだわ。レイリーゼ王家に伝わる大切なティアラを身に付ける資格が私にあるのかしら……
「二日後にお前はこのティアラを身に付け国民の前に姿を見せる事になる」
「………はい」
「どうした?」
「私などがジェイド様の王妃として務められるのか自信がございません。小国とはいえ一国の王女として生きて来ましたのに、本当に申し訳ございません」
「アリア。よく聞け。自信があろうがなかろうがお前は王妃になる。それは避けられない。だが俺がいる。一人ではない」
ジェイドの心強い一言でアリアの不安は晴れた。

