不器用なジェイドは一体どうすればアリアの笑顔が見られるのか分からない。
カイルが言ったようなことにならなければいいが……
アリアは自分に対して怯えてる事も愛されてもいないという事は充分理解出来ていた。
表向きは愛のない政略結婚だがジェイドはアリアを本当に愛していた。
ジェイドの気持ちは誰も知らない。カイルにすら話していない秘密だ。
不器用で感情を出さない彼の性格と王としての立場上、秘密が暴かれると困る。
レイリーゼは軍事国家。敵は多い。
その頂点に立つ者は弱みを握られたら最後、自分だけでなく国を、最愛の人まで全てをなくしてしまう。
それがジェイドの住む世界だ。
穏やかなフローランでスクスクと愛されて育ったアリアには恐らく理解しがたい。
自国も他国も全て仲良くなればいいな。というのが彼女の本音。
アリアは今、ジェイドが去り、一気に疲れた。
そのまま横になって何もすることなく天井を眺めていた。
少し休みましょう。気持ちが落ち込んだ時に考えたって悪い事ばかりを考えてしまうから良い事はないわね。考えるのは休んでから。それからにすればいいわ。

