そして、季節が美しく色付く頃。
アリアに陣痛が来た。
アリアにとって出産は二度目。
前回の出産の時は怪我をして死ぬ程の痛みを乗り越えた。産後は生死の境をさ迷った。
それに比べて今回は怪我もなく落ち着いている。
何より愛する夫が側に居てくれる。こんな心強い事はない。
アリアは陣痛に耐え、我が子の誕生を今か今かと待つ余裕があった。
その反面、ジェイドは落ち着かない。陣痛に苦しむアリアを見ていて自分が代わってやれたらどんなにいいかと思っていた。アリアの手をしっかりと握り、励ました。少しでも痛みが和らぐようにと腰をさすってやったりジェイドに出来る限りの事をしていた。
アリオスとエリオス誕生の時は戦場にいて付き添う事が出来なかったのだが、それを今更ながら後悔した。
こんなに苦しむアリアの側にいてやれなかったなど有り得ない。
生死に関わる程苦しむアリアを置いて戦場に出た自分自身に心底腹が立った。
何があっても付き添うべきだった。不安だっただろう。
しかし、アリアは全く気にしていない。
母となりアリアも強くなった。
この痛みは我が子に会える為の痛み。
そう思うと痛みも耐えられる。
そして、ジェイドが見守る中―――――
新しい命が大きな産声をあげた。
生まれた子は漆黒の髪と瞳を持つ、ジェイドに似た女の子だった。

