「カイル!!離れろ!触るな!」

「珍しいな。お前が怒るなんて。アリアが可愛いんだ。仕方ない」

「仕方ないじゃない!俺の妻になる女だ。俺のものだ!勝手に触るな!」

「じゃあ許可があれば何をしてもいいのか?」

「いいわけないだろう!俺以外の男には指一本、触れさせない!!」







ジェイドは激怒していた。
アリアの全てを自分のものにしないと気が済まない、例え髪一本であろうとアリアを他の誰かに触れられるのが心底嫌なのだ。恋する男は独占欲の塊なのだから。






相手が自分の従兄弟であっても同じことで、どうしても腹が立つ。






カイルの腕を掴むと馬車の外へ引きずり出した。







「相変わらず乱暴だな」

「うるさい」

「だから凄んでも怖くないって。お前、口紅が付いてるぞ」

「…………!!」








カイルの発言に思わず口を手で覆い指先で拭った。



指先にはアリアと同じ淡いピンク色の口紅が付いていた。




複雑な心境で何となく照れる。言うまでもなく顔には出ないが………








アリアはカイルに抱きしめられた時に、どう反応していいか分からず、ジェイドとカイルのやり取りを見ているだけだった。