何も考えられなかった。
小屋でアリアとあの男を見て、思った。
あんなに気を許したように笑うアリアを見たのは初めてだった………
俺にはあんな笑顔は向けない……。
いつもどこか緊張したような……そんな顔をしている。
俺には見せない顔をあの男の前では見せるのだと思った時に怒りと同時に悲しくなった。
俺がどんなに愛していてもアリアは愛していない……………
いつか俺の手の届かない所に行ってしまうんじゃないかと……いつも怯えていた。
その悪夢が……恐れていた事がとうとう現実になってしまった。
アリアの口から“別れ”を聞くのが怖くて、突き放した………
もうアリアの事を考えるのは嫌だ。苦しい………
ジェイドは森の中を駆け抜けて公務の目的地へ向かう為に用意されていた馬車へ乗り込んでレイリーゼ城を後にした。

