リュードはアリアの名前を本人の口から聞いた時は愕然とした。
恐らくそうだろうと思っていた。


長く柔らかい銀髪に白い肌。生きた宝石とまで言われる程の美貌を持ち、纏う雰囲気は暖かく慈愛に満ちている。









そんな彼女でも最初は信じる事は出来なかった。

いくら優しい人間でも得体の知れない人間を助けるなんて考えられないからだ。








いくら母国が平和なフローランであっても嫁ぎ先は世界一の軍事国家であるレイリーゼ。その国王の寵愛を一身に受ける王妃アリア。



結婚して王妃という確固たる地位や富を得た場合、我が儘で傲慢な性格なってもおかしくはないが、彼女の持つ本来の優しさは全く変わらなかったようだ。


いや、子供を産んで母親になった事でより慈愛に満ちた素晴らしい女性となった。






そんなアリア王妃に黒い魔の手が忍び寄ろうとしているのだ。





リュード達暗殺者集団がこの国に送り込まれたのは彼女を捕らえるのが目的であった。

その為に国中を混乱させたのだ。






しかしリュードにアリアを捕らえようなどという考えはない。今はアリアを守りたいと思っている。


仲間と離れ、痛む体を引きずり死ぬ思いをしながら、ここへやって来たのは死ぬ前に一目アリアを見たかったから。


暗殺者集団を裏で操る、あの残忍で卑怯な男がこれ程までに欲するアリア王妃がどんな女性なのか………




リュードは知りたかったのだ。