城に入ると落ち着きなく辺りを見回し、何かを探している。
私室の扉を開けて中を確認した。
そして……………
「ジェイド様!!」
探し求めていたのはジェイド。
そのまま走りジェイドの胸に飛び込んだ。
ジェイドはアリアの行動に多少驚いていたようだが自分の命よりも大切な愛する妻に突然抱き着かれても嬉しいだけで全く嫌がるそぶりを見せず、その大きな体でアリアを受け止めた。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「………何も、何もありません」
「本当か?辛い事でもあったんじゃないのか?」
「ありがとうございます。でも、何もないのですよ。ただあなたに抱きしめてもらいたかっただけなの………」
「そうか……」
ジェイドはアリアの言葉が嘘だと気付いていたが、追求はしなかった。
アリア自身が決断し、乗り越えなくてはいけない事もある。
ジェイドはアリアが助けを求めて来た時には力になると思っていた。
「ごめんなさい……」
アリアの小さな小さな呟きは抱き合っているジェイドにも僅かに聞こえるくらいだった。

