久しぶりに空腹が満たされた男は熟睡している。
それもアリアが側にいるのに。
男はアリアが側にいる時は絶対に眠らなかったのだ。
アリアは安心しきったように眠る男を見ながら、物音を立てないようにゆっくりと出て行った。
アリアは城へ戻る途中、木の根に腰掛けて考えていた。
あの人は間違いなくジェイド様がおっしゃっていた暗殺者集団の一人で仲間割れをして怪我を負った方だわ。
接している時間が長くなればなる程あの人が暗殺者だと確信していったわ。
けれど、どう見ても人殺しをする人には見えないのよ………
身も心も傷付いていて、あの瞳は、とても悲しくて寂しくて助けて欲しいと訴えかけているように感じてしまうのは気のせいかと最初は思ったけれど今は違うの。
あの人は自分の立場に酷く苦しんでいる。
きっと――――
私はレイリーゼ国の王妃として、一人の国民として、一体どうすればいいのかしら………
どんな行動が正しいのかしら………
そしてジェイド様。あなたに隠し事をするのはとても辛くて、苦しいの…………
ごめんなさい………

