あれからどのくらい時間が経過したのだろうか。
男はすっかり眠ってしまっていて。気が付いた時、暖かい空気が彼を包み込んでいた。
「お目覚めですか?」
「………………。」
「ご気分はいかがですか?よろしければ少しでもいいので何か口にした方が良いかと………」
「何故、俺に構う?」
「え?」
「何故こんな得体の知れない俺に構う!」
「………あなたが酷い怪我をして倒れていたから………。そして目覚めた時のあなたの瞳はとても悲しそうに見えたから………。だから………だから、放っておく事はどうしても出来なかったのです。上手く説明が出来ないのですが………」
「……同情なら、必要ない……」
「同情ではありませんわ。あなたを助けたいと言う私の自己満足です。お付き合いいただけませんか?」
「………勝手にしろ」
「えぇ。勝手にしますわ。お食事にしましょう」
アリアは消化にもよく栄養たっぷりの野菜スープを男に手渡した。

