掃除が終わると流石に疲労が一気に襲って来た。アリアは近くにあった椅子に腰掛け、眠る男を見た。
体を清潔にして傷の手当もしたから少し呼吸も落ち着いて来たように思える。
ただ心配なのが男が高熱を出している事だ。きっと傷口から菌が入り込んで発熱したものと思われた。
椅子に腰掛けながらも時折、男の汗を拭ったり額に水で冷やした布を置いたりしながら様子を見守った。
いけないわ。もうこんな時間………心配だけれど城に帰らなくてはいけないわね。
アリアは自分が城に戻っている間に男が目覚めた時の事を考えて簡単な置き手紙をして、枕元に果物と水を置いて小屋から出た。
城までは歩いて割りとすぐだが少しでも早く帰るために早めに歩く事にした。走って帰りたいが息も切れるだろうし髪も服も乱れる。そうなれば城の者に怪しまれるから走る事は出来なかった。
先程、走ったのは事態が事態だからであり、乱れた髪も服も自分で整えた。

