小屋に入ると男はベッドに横たわったままでアリアが城にいる間も男はピクリとも動いていないようだった。
まず体を清潔にして傷の手当をしなくてはならない。アリアは少し躊躇しながらも男の服を脱がす。
これは人命救助よね。仕方がないわ。
と自分に言い聞かせながら服を脱がしていき、徐々にあらわになる男の肌を見て驚いた。
男の体にはおびただしい程の量の傷があった。
今、男を生死の境をさ迷わせている原因となった傷の深さも驚いたが、昨日、今日ついたとは思えない昔の古傷で体中が覆われていた。
切傷や刺し傷と思われるものから引きつった火傷のようなものもある。
アリアは涙が溢れて来た。
何故だか分からないけれど、とても悲しくて仕方がないわ……。
恐らくこの人は我が国の憎むべき宿敵。
そうアリアは男の正体を最初から分かっていた。
赤髪を持ち傷を負ったこの男の正体は………
“暗殺者”

