「泣くな………お前のせいではない」
「ですが………私はこの国の王であるあなたの妻ですわ。何も出来ない私はなんと無力なのでしょうか………」
「お前がこの国に来てから随分と変わった。明るくなった」
「そんな事は……」
「“アリア”と言う名前はこの国では一人もいなかったが、お前が来てから生まれた娘にアリアと名付ける国民が増えた。皆、お前のように美しく聡明で心優しい子に育って欲しいと願ってる。お前は皆の希望だ。そんな女が涙を見せるんじゃない」
ジェイドはアリアの瞳に溜まった涙を優しく拭うと笑顔の顔が見えた。
「はい!」
凛とした声にジェイドも笑みを浮かべた。
「それでいい。苦しい時こそ笑顔でいなければならない。俺達は王家の人間だ。国民を不安にさせるわけにはいかん」
「ジェイド様の言う通りですね」
「ああ。だが、まぁ……俺の前だけならいいか」
「ふふ……じゃあ辛い時はあなたの側で泣く事にします」
「辛い事は無い方がいいが、そうしろ」
互いの額をくっつけて微笑んだ。

