「アリア様!アリア様ー!」
「あら、いけないわ」
アリア付きの侍女のリージュがアリアを探しにやって来ていた。
本来、今の時刻だと勉学の時間で家庭教師も来ている。
アリアは庭にやって来ると時間を忘れてしまう癖がある。直そうと思うのだが何分、楽しいのだ。楽しい時間はあっという間に過ぎる。
困った王女だが、眉目麗しく心優しい温厚な彼女が反省し、しょんぼりと謝罪する姿を見て叱る者など城にはあまりいなかった。
「リージュ!ごめんなさいね。すぐに行くわ」
「ではお着替えが終わり次第向かいましょう」
「えぇ。リージュ。いつも、ありがとう」
「いいえ。私はアリア様のお付きなることが出来て本当に嬉しいのです」
「まぁ!嬉しいわ。だけどリージュ。褒めてくれても何も出ないわ」
同じ年のアリアとリージュ。ふたりは親友のような関係だった。
クスクスと笑い合いながら、今日もごくごく平凡な一日が過ぎて行くのだろうと誰もが思っていた。
フィリップ王を除いては……………

