桃がハイハイしてやってきた。

 ごめんね。

 桃を抱っこして、涙を引っ込めてやっとの事で笑えたけど、旨く表情、造れているかな?

 交わした約束は未だ、実らないまま。

 あたしもパパの転勤で東京の地を離れる事になったから。

 初めの頃は、互いの中間地点である京都でデートしよう、なんて話していたけど。

 お互い、そう簡単に時間を造れないのも事実。

 ねぇ。
 ジュン。

 もしも、生まれ変わったら、

 今度はちゃんと、あたしを見つけてよ。


『その約束なら守れそうだな。
 今までありがとう。
 彩香と話が出来て、楽しかったよ。
 幸せになれよ』

「ジュンも、幸せにね」



 携帯の画面を覗いたからって、メールも電話も来るわけない。

 だけど、貴方との繋がりが、
 唯一これだけだから。

 あたしは、毎日決まった時間に携帯を眺めるのが、日課になっていた。