一週間、連絡が途絶えた。

 あたしから電話はしない。

 だって、もしジュンの奥さんが見付けて、不快な想いをされたら嫌だしね。

 だけど、少し寂しいな。

 今日は、話したかったな。

 もう、眠さも限界。

 布団の中で、携帯電話を握りしめながら夢の中に吸い込まれていく。

 bu bu bu bu

 手のひらの中から振動があり、夢の世界から引き戻された。

『もしもし?』

『久しぶり、寝てた?』

 当たり前だよ。
 明日も早いんだから。

『そうだよね。
 電話でキスしようと思ったけど……。
 またね。
 ゆっくりお休み』

『うん』

 半分、寝惚けていた脳ミソが完全に冴えてしまった。

 今、キスって言った?

 電話で?

 意味分かんないよ。

 気になる、気になる、気になる!!

 一度開いた眼は、閉じる事なく、即行メールを返した。

 返事は直ぐに返ってきた。

“寝られなくなっても知らないよ?”

 既に冴えきっているもの。
 今更でしょう。


“じゃ、電話するね”

 写メで顔は知っているけど、実際の温もりは感じていない。

 前に、冗談混じりで告白された事もあった。

 でも、これは、冗談にしてはキツすぎる。

 ドキドキ、と煩い心臓音が隣で寝ているパパに聞こえてしまうのでは?

 そう思いながら、上着を羽織り、そっとリビングへと足を運んだ。

 と同時に、バイブがなり、携帯を落としてしまった。