「……翔の好きな人が早口さんじゃなかったら、諦めつくのに。」 彼女はそれだけ呟くと、走ってどこかへ行ってしまった。 ……本当にもう。 一体なんなの!? 随分と厄介ごとに巻き込まれたような気がする。 私はハァ、とため息をつくと、美術室へと歩きだした。 なんか無駄に時間を費やしてしまった。 その分、さっさと美術室に行って、絵に取りかからなくてはいけない。 …なのに。 「あ。おい早口!」