翔は、笑っていた。


ポケットに手を突っ込みながら、袖口を風で揺らして。


まるで、太陽みたいに。
笑うことで、私を照らそうとしてるみたいで。



その日差しは、私には暑すぎる。



「…またな。」



翔は、かけていった。


地面を、靴の先でしっかり蹴飛ばして。
風のように軽やかに、リズムよく。



“ 翔 (かける) ”




きっと、翔の名前は、本人を映し出しているんだ。