「先生が高校生時代に描いた絵を、私が惚れて…
それでスカウトしたんですよ!」
『……。』
今思い出すと懐かしい。
二年前、私はプロの美術家としてデビューを果たした。
しかも、思い出の品、
『私を変えてくれた人』で。
…けど、運命は皮肉なもの。
一番に伝えたい人がここに、いないなんてね。
「…もう!なんでそんなに無反応なんですか!?
私がいなかったら、先生はデビューできなかったんですよ!!」
『…はいはい。ごめんって。』
そう言って、苦笑いを漏らす私。
そんな私に、今村さんはわざとらしく頬を膨らました。

