利き手が使えないっていうのが不便だけど、
それでも私は絵を書き続けている。
…書き続けていたら、いつか彼に会えるような気がするから。
「…先生と私の出会いは、運命的でしたよね!」
そう言って、キラキラした表情を見せる今村さんは、
どこか、あの人に似ている。
…そう。
なんだかんだ言って、私を導いてくれた顧問の柏木先生に。
『…そうだったっけ??』
「…もう!忘れちゃったんですかぁ??」
わざとらしく口を尖らせるような動作が、やっぱり柏木先生みたいで。
思わず笑みを漏らしてしまった。
…嘘。
本当はちゃんと覚えているよ。

