私に押されて徐々に扉に近づく翔。


そして、外に出る直前、翔は何かを確かめるように深く頷いた。



「…ありがとな。早口。」



力強い眼差しで。

だけど、どこか寂しそうに微笑む翔。


やっと、本来の翔に戻ったような気がした。


どこか遠くを見てる目、
希望で満ちあふれる目、

そんな目をしている翔に、私はいつも憧れていたんだ。



「…最後に、握手してくれる??」



そう言って差し出された右手を、戸惑いつつも握る私。


けれども、ケガをして上手く握れない。


それに気づいた翔は、優しく私の手を包み込んだ。