「うん。」



彼の不機嫌さがわかっていないのか、曇りない笑顔で答える翔。


そんな翔の表情に、彼はより一層眉間のしわを深くさせた。


『…翔。もう練習いったら??』



彼があまりにも私を睨んでくるから。


私は慌てて翔の背中を押し、練習にいくように託す。


わりと鈍感な翔は、意味がわからないという感じで私を見ていた。



「…よくわからないけど。

またね!早口!」



…やっぱり、意味がわかってなかったんだ。


そう思いつつも翔に手を振り返す私。


初めて手を振り返した私に、翔は満面の笑みを見せてくれた。