「…じゃあ私、職員会議があるからもういくね。」 顧問は早口でいうと、満面な笑顔を見せる。 それは、今までのぎこちない笑顔とは違う、自然の笑顔。 顧問は私に手を振ると、この場から去っていった。 …やっぱり、この人…。 柏木先生は単純だ。 だって、たった数分の出来事で、ここまで態度が変わるんだから。 ――だけど、 こうやって、私が人を信じることで、笑顔になる人がいる。 それは、この上ない幸せだと思った。