「…早口さん、おはよう。」 ほら、今日も。 ぎこちなく笑う顧問が現れる。 今は放課後。 『おはよう』なんて言う時間じゃない。 そんな些細な間違えが顧問らしくて、思わず笑みを漏らしてしまった。 『…おはようございます。』 今まで一度も返したことなかった挨拶。 いきなり満面の笑顔は無理だから、ぶっきらぼうだけど言ってみる。 たったそれだけのことなのに顧問は、 「早口さんが挨拶を返してくれた…!」 って目を潤ませていた。