私なんか、ほっといたらいいのに。 有り得ないぐらい、しつこくて。 変に勘がよくて。 無駄に爽やかで、誰にも好かれそうな、 泣きたくなるぐらい、 優しい人――…。 『…本当は、気づいていたのかもしれない。』 私の周りには、いつも優しさで溢れていた。 翔はもちろん、 影で支えてくれた黒川さん。 そして、今までは何も思わなかったけど、 用もないくせに毎日部活にくる顧問も、 私を心配してくれていたのかもしれない。 自分自身が突き放していただけで、 私は“愛”で包まれていたんだ。