「…俺じゃ、力になれない??」 まるで、ふさふさとした羽が生えた天使のように。 違和感なく、私は翔に抱きしめられる。 軽く、優しく。 その何気ない力加減が、私の全てを崩してしまいそうだった。 『……。』 私は、無言を貫いた。 今ここで口を開いたら、なにもかもが終わりだ。 ――人は信じない。 あの日、決めたのに。 今、翔に全てを受けとめてもらいたい。 そう思ってる自分がいる。 こんなの、だめだ。