「…なぁ。」

『…なに??』



いつもは無視するところを、今はちゃんと答える。



そうしなきゃ、翔が翔でなくなってしまう、

そんな気がした。


どこかへ、消えてしまいそうな気がしたんだ。



「…俺の、サッカーを始めた理由について聞いてくれる??」



私は、無言で頷く。


今の翔は、放っておけない。



私が頷いたことを確認した翔は、静かに唇を開いた。



「…俺さ。

本当は、違う学校に行くはずだったんだ。」