地味子の秘密*番外編*

そして、30分後―――。

「終わったよ、313個だった!」


いつものようにコーヒーを淹れ、ソファーに座っていた俺へ差し出しながら言う。


「学園からの数が113個でね、部屋に届いたのが200個だったよ」

「そっか、ありがとな。お疲れ」

「ん~ん。どういたしまして」


少し微笑み返し、コーヒーを受け取った。

杏も、俺の隣に座る。


「バレンタインって、陸にとって大変な日だね?」

「だな」

「チョコ313個と、告白18人だもんねぇ~」


ゆったりとした口調でそう言う杏を、横目で見つめた。

やっぱ、妬かねーよな……。

ちょっとくらい……なんかねーの?

あまりにも平然としているから、ツライ。

なぁ、ホントに俺のこと好き?



心の中がモヤモヤして、黙り込んでしまう。

そのままコーヒーに口をつけた。



それが10分ほど続いた時―――……。


「ねぇ……」


杏が話しかけてくる。



「なんだ?」


カップをテーブルに置いて、杏の方に体を向けた。



「もうこれ以上、チョコって届いたりしない?」

「ん~まぁな。いつも夕方くらいまでには届くけど」

「そっか。じゃあ、これで……“みんなの王子様”は終わりね?」

「は?」


何を言い出すんだよ。


“みんなの王子様”は終わり?

なんのことだ?