「あ、陸様。恒例の品は、お部屋に運んであります」
「ありがとうございます……」
やっぱり来たのか。
例年通り。
岡本さんからの報告に、大きくため息をつく。
「恒例の品?」
彼女の言葉の意味が分かっていない杏は、首を傾げた。
「お部屋に行かれたら、わかりますよ」
ん~……そうだよな。
見ればわかるものだ。
そう言われ、杏とふたりで自分の部屋に向かう。
自室に向かうのがこんなに憂鬱なのは、今日だけだ。
部屋の扉を開けた瞬間、
「……すごい」
ポツリと杏が呟いた。
部屋に運ばれた“恒例の品”とは、大量のチョコ。
学園外からの、親父の友人や取引先。
その他もろもろから送られてきたチョコたちのことだ。
「ホントにすごいね。こんな量……お店のチョコ売り場でしか見たことないよ」
「あぁ……これだけあれば、売れるな」
「うん……何個かな?」
「さぁ?去年は300くらいだったか」
どこからか持ってきた机の上に山積みされたチョコを見ながら、ふたりで話す。
「数えてみるね!」
「あぁ……」
そう言うと、杏は式たちを使ってチョコの数を数えていく。
「すごっ……これ有名なパティシエのものじゃん!あっちは、パリから来てる!」
依頼先に感心しているのか、そんなコイツの独り言が聞こえた。


