地味子の秘密*番外編*

ふん。

お前が俺に口で勝とうなんて、100年早いんだよ。

「お前も十分、変態だろ。ほら、俺への暴言に対して、ごめんなさいは?」

「うぎゃ!ご、ごめんなしゃい・・・・・・」

「よろしい」

ニッコリと笑って、杏の髪を撫でてやる。

すると、杏の沈んでいた表情に、笑みが戻った。

コイツさ……頭撫でられると、メチャクチャ嬉しそうな顔するんだよな。

そんなにいいか?

ん~まぁ、それはいいとして。

「なぁ・・・・・・久々にここで乱れてみる?」

口を杏の耳元へと持って行き、胸に手を置く。

優しく揉みながら囁いた。

「ななななな・・・・・・!」

「午後の授業すべて使ってさ?」

さっきよりも真っ赤になった杏の頬に、チュッと口づける。

こんなカッコのお前が目の前にいて、我慢しろって方がムリだ。

昼メシは食ったけど、デザートまでは食ってねーし。

「お前を喰ってもいい?」

触れるだけのキスを顔中に落として、問いかけた。


いつもは、ここで言葉にしなくても、うなずいたり、応えるように抱き着いてきたりする。

だから、今日もこのままいけると思ったのだがーーー。


「ダメっ!今日はダメ!」

・・・・・・は?

杏からの答えは、NO。

――ピクリ

俺の片方の眉がつり上がった。

「なんで」

「だ、だって、明日はバレンタインだもん!」

は?どーいうことだ?

なんで、バレンタインだからって断られなきゃいけないわけ?

俺が怪訝な顔をしていたからか、杏がその理由を続ける。

「今夜は、明日クラスや雑鬼たちに渡す大量のチョコを作らなきゃいけないの!ここで陸
とシたら、夜中に起きておく体力がなくなっちゃう!」

“だからダメ”だとつづけた。

・・・・・・また、他のヤツらへのチョコ話か。

俺へのチョコの話は一切しねーくせに。

つーか、そんな夜中に起きておく必要があるほど作って、配るのかよ。

今コイツの頭ん中は、俺との時間よりも、明日のチョコの方がデカいわけ?