ギュッと腕に力を入れる。

「わ、渉……ッ!?」

「ごめん、痛かったよな。俺がちゃんと警戒しておけば、こんなことには……」


腕の力を緩めて、樹里の顔を覗き込んだ。

頬に貼られたガーゼ。

見るだけで胸が痛くなる。


「ごめん……」


そう言って、彼女を頬を撫でた。


あの時、鎌鼬をちゃんと調伏していれば、樹里にケガなんてさせなかった。

俺……1番大事なモノを護れてない。


昔、樹里と約束してのにな……。


『じゅりちゃんはまもるから、手当をおねがいするね』


コイツは、何百回も俺との約束を守ってくれてるのに。

俺は何回守れただろうか?

一度も、守れてない気がする。


「渉、もう大丈夫だよ。ほとんどの傷は浅いし、目立つような傷は太もものしか残らないと思うから……」


謝る俺を安心させようと樹里がギュッと指を握る。