悲鳴を上げた女子達の視線の先には、大事な女の姿。


『ケケケッ……そいつは、お前の大事なモノだよなァ? 次は、お前を切り刻んでやろうかァ?』


強い風の中から聞こえる声。


クソ……あの時逃した鎌鼬か!!

深手を負わせたのに、回復したのか……いきなり襲って来た。


目の前に、頬……腕……太ももを鋭利な鎌で切り裂かれている樹里がいる。

ビックリしすぎて、床にぺたんと座り込んでいた。

鮮血があちこちから流れ、彼女の制服に染み込んでいる。



ひとまず……生徒を守らなければ。


──パンッ!


柏手を一回打ち、屋上だけを残して、校舎全体に結界を張る。


「樹里」


生徒の安全確保が出来たことを確認して、樹里の元へ。


放心している彼女をお姫様抱っこで抱き上げた。