樹里からの答えは……。

「違うよ……」という小さな小さな否定。


じゃあ……まさか本当に……。

ヤローにフラれて泣いてる樹里を見るのもイヤだが……コイツに彼氏が出来るのも素直に喜べない。


樹里を取られたくない。


そう思った。


これは……今までずっと一緒にいたから……家族を取られたくないという気持ちなんだろうか?

それとも……別のモノ?


考えれば、考えるほど……ぐるぐるとモヤモヤした気持ちが渦巻く。


その時───……。


「渉……どこにも行かないで……」

「えっ……じゅ……」


かすれ気味の小さな声が聞こえたと思ったら、樹里に抱き着かれた。

首に腕を回して、顔をうずめられる。


一瞬……ドキッと心臓が拍動を打った。