地味子の秘密*番外編*

だけど、樹里の存在は俺にとって大切で……守りたいモノだった。

“幼なじみ”として。



5歳になり、陰陽道の様々な書物を読みあさるようになる。

わからないことは、親父に聞いてまわった。


知識が増えてくると……試してみたくなるんだ。


小刀を使って、蝶の式を作ったり……庭に落ちていた葉っぱに術をかけてみたり……。


5歳の俺は、手当たり次第に色んな術を試してみた。

だが、たった5歳の子供。

術は成功だけじゃなく、失敗も多い。


指を切ったり、膝を擦りむいたり……体のあちこちに生傷が絶えなかった。



親父は『ケガくらい最初はするものだ』と言って笑っていたが、樹里はそうではなかったんだ。


遊ぶ度に、手足に包帯。

絆創膏……かさぶた。


子供の目には、ちょっと痛々しいモノばかりだった。