ライブ会場は熱気でむせかえりそうな状態。
アップテンポな曲やバラード、ダンス曲やユニークなMCや映像まで。


BKN48のヒット曲が満載で、客は総立ち。
それでなくても……俺たち3人はアリーナ席であるため、座ることもなく近藤はひたすら近くにいるメンバーたちを見れて感動していた。


ライブも中盤になり、人気メンバーのソロやユニット曲などが披露される。

その中で、いよいよやって来た。

工藤茅那のライブだけでしか見ることができないソロ曲。



TVでは絶対にソロはやらない彼女。
上手いのに、色々と問題や大人の事情があってできないそうだ。
だから、ライブでしか彼女の唄は聴けない。


彼女自身の曲もあれば、有名な歌手の曲のカバーなど、内容はその時々によって様々だ。


今日は何を唄ってくれるのだろうか?


「茅那ちゃーーーん!」
「好きだ―――」
「茅那―――――!」


会場のあちこちから聞こえる声援。
それに応えるように、彼女がステージに現れる。
俺たちから20mほど離れたところだ。


『みなさーん! こんばんは! 工藤茅那でーす』


大画面に映った彼女は笑顔を浮かべて一礼した。
ミントグリーンでミニ丈の胸元の開いたドレスを着ている。

それに応える客の叫び。
彼女の登場を今か今かと待っていたのがわかる。


『今日はライブに来て下さってありがとうございます! 楽しんでますかー?』


「イェーーイ! 茅那ちゃーん!!」


隣に立つ近藤がペンライトを片手に振りかざして叫ぶ。



『今日のソロはですね、色々と迷ったんですけど……』


そこまで言ったところで茅那ちゃんが固まった。