時間は進み、ライブ会場へ入る。
大勢の人の流れにそって、チケットにかかれた席へ向かった。
俺たちはまさかまさかの……1階アリーナ席!
ライブ会場に入って驚いた。
ステージが目の前にある……。
肉眼で人の顔が見える位置だ。


「結構近いな」


高瀬の一言に、俺らふたりは頷くしかない。
まさか、こんなにステージに近い場所だとは思っても見なかった。


「ラッキーじゃん! 生の茅那ちゃんが目の前で見れるかもしれないんだぞ!」


興奮気味の近藤はものすごくうれしそう。
コイツは茅那ちゃんの大ファンだもんな……。
確かに俺もうれしい。
好きな実那ちゃんを間近で見れるんだから。
近藤と盛り上がっていると。



「なあ……コイツって……そんなに人気なのか?」



隣にいた高瀬から予想外の質問が飛んできた。
ヤツは先程買ったうちわの茅那ちゃんを見つめている。


「なに言ってんだよ! お前、日本人なら誰もが知ってるアイドルだろーが!!」


茅那ちゃんのことを知らない、という高瀬に向かって近藤が工藤茅那というアイドルについて説明をはじめた。