俺の言った意味が理解できていないのか、ポカンと間抜け面だ。
「小笠原さんでさえ、俺のこと名前で呼ぶのに? なんで“彼女”の茅那さんは名字で呼ぶのかな? ん?」
小首を傾げて尋ねると、ようやく理解したらしい茅那はパクパクと口を魚のように開けては閉じ、視線は定まらずキョロキョロとさせる。
マジ、その顔笑える。
「い、いやそれは……慣れっていうか」
「慣れ?」
「出会った時から名字で呼んでたから、高瀬くんは高瀬くんだって思っちゃって」
「は? 意味わかんねえ」
「と、とにかく今更無理です! 高瀬くんは高瀬くんなの!! 他の呼び方なんてできない!」
顔を横に振り、名字以外では呼べないという茅那。
「慣れ、なんだよな?」
「うん! そう!」
「じゃあ、今から名前で呼んで慣れればいいんじゃねぇの?」
「……え。そ、それは」
ピキッと固まったまま俺を凝視する彼女。
「もう何年待ったと思ってんだ。いい加減、呼べ」
「それは……じ、次回ということはできませんでしょうか?」
「ダメ。パスなし」
「ぅぅ……そんな~」
口元をすぼめてうなだれる茅那の顎を持ち上げて視線を合わせた。
もう逃がさねえぞ。
「ほら」
名前で呼ぶように促すが、彼女は目を合わせようとせずにあちこちを見ている。
その時だった。
ポーンという高い音がフロアに響き、ふたり同時に音の鳴った方を見た。
それはエレベーターがこの階に到着したことを知らせるもので。
誰かがこのフロアにやって来たらしい。
「ど、どうしよ……」
いつも携帯している杏樹のお守りなんて今日は持ち合わせていない茅那。
この場を見られるのは少々マズイ。
とっさに彼女の手を引いて、近くにあった資料室へ体を滑り込ませる。
扉を閉め、茅那の身体を引き寄せて腕の中に閉じ込めた。
「小笠原さんでさえ、俺のこと名前で呼ぶのに? なんで“彼女”の茅那さんは名字で呼ぶのかな? ん?」
小首を傾げて尋ねると、ようやく理解したらしい茅那はパクパクと口を魚のように開けては閉じ、視線は定まらずキョロキョロとさせる。
マジ、その顔笑える。
「い、いやそれは……慣れっていうか」
「慣れ?」
「出会った時から名字で呼んでたから、高瀬くんは高瀬くんだって思っちゃって」
「は? 意味わかんねえ」
「と、とにかく今更無理です! 高瀬くんは高瀬くんなの!! 他の呼び方なんてできない!」
顔を横に振り、名字以外では呼べないという茅那。
「慣れ、なんだよな?」
「うん! そう!」
「じゃあ、今から名前で呼んで慣れればいいんじゃねぇの?」
「……え。そ、それは」
ピキッと固まったまま俺を凝視する彼女。
「もう何年待ったと思ってんだ。いい加減、呼べ」
「それは……じ、次回ということはできませんでしょうか?」
「ダメ。パスなし」
「ぅぅ……そんな~」
口元をすぼめてうなだれる茅那の顎を持ち上げて視線を合わせた。
もう逃がさねえぞ。
「ほら」
名前で呼ぶように促すが、彼女は目を合わせようとせずにあちこちを見ている。
その時だった。
ポーンという高い音がフロアに響き、ふたり同時に音の鳴った方を見た。
それはエレベーターがこの階に到着したことを知らせるもので。
誰かがこのフロアにやって来たらしい。
「ど、どうしよ……」
いつも携帯している杏樹のお守りなんて今日は持ち合わせていない茅那。
この場を見られるのは少々マズイ。
とっさに彼女の手を引いて、近くにあった資料室へ体を滑り込ませる。
扉を閉め、茅那の身体を引き寄せて腕の中に閉じ込めた。


