「え…?」
「だって……この子とはなせて、さわれるんだよ…?」
“気持ち悪くないの?”
続けなくても、俺には杏樹がそう言っているような気がした。
「どうして、それがこわいの?」
「……あたしが……“ばけもの”だから」
「“ばけもの”?ばけものなんかじゃないじゃん!
ばけものっていうのはね、おれの“ねーちゃん”みたいなのをいうんだよ!!」
「おねーちゃん………?」
「うん。すぐおこるし、おれをたたくし、けるし……おにみたいなんだよ!?」
「……おねーちゃん…すごいね」
男の子の話を聞いて、それだけを返すと……またケーキを雑鬼に差し出す。
「おいしい…?」
杏樹が尋ねると、ニカッと嬉しそうに笑った。
「よかったね。」
優しく雑鬼の頭を撫でる。
すべてのケーキをあげたのか、皿にはもう残っていなかった。


