地味子の秘密*番外編*

――蓮side――


茅那がビールを取りに行き、姿が見えなくなった頃。


「高瀬」

「あ?」


一緒に飲んでいた近藤から、呼ばれた。

視線を向けると、興味津々の目で何か企んでいるような気もする。


「なんだよ」


そう返すと、近藤をはじめ飲んでいたヤツらはニヤニヤし始めた。


「茅那ちゃん、可愛いな!」

「超いい子じゃん」

「優しくて素直だし……癒し系だよな」


口々にいうヤツらの意図は、なんとなくわかった。


「なにが言いたい」


直接的に問いかけると、全員が声をそろえて答えた。


「付き合わねーの?」


その表情は嬉々としていて、俺と茅那が付き合うことを望んでいる。



『もう付き合ってる』という言葉が喉まで出かかった。


が、思いとどまる。

すべては……秘密を守るため。



再会した時には、もうアイツは……国民的と言われるほどの人気アイドルだった。

CDセールスは何百万枚というグループのトップに君臨し、人気実力ともに№1メンバー。

最初は……追い払っても、追い払っても近づいてきて。

俺を見てビクビクしてるくせに、ちょっと優しくすると嬉しそうな顔して。

超がつくほどの甘ったれで、毎回顔グシャグシャにするくらい泣き虫のくせに。

仕事のことになると目を輝かせて、何にでも負けず嫌いで、芯の強い女になる。


拒絶しても俺のところへ飛び込んでくるのは、茅那が初めてだった。



関わる度に放って置けなくて、目が離せなくなって……気づいたら、傍にいることが普通になってた。