地味子の秘密*番外編*

そんな中学・高校時代を過ごしてきたから、今の状況は何となく懐かしい気分だ。

そんな時。


「歌手志望? いつ夢が叶うかもわかんない女が。将来有望な高瀬くんに付きまとうのは失礼じゃないの?」

「そうよ、彼のお家のこと知ってる? 有名な警察官僚一族よ? そこら辺にいるようなアンタみたいな女とは住む世界が違うの!」

「どうせたいして歌唱力もなくて、口パクしかできないアイドルになるぐらいじゃない? そんなのデビューするだけムダ! すぐ消えていくわよ」


最初に文句を言ってきた彼女が、見下すように言い放った。

それに続いて、まわりも『そうよそうよ』と連呼する。

高瀬くんの隣にいることも否定されて、夢までバカにされた?


ギュッと両手を握りしめる。


「人の夢にまで口を出す権利が皆さんにあるんですか?」


怒りを抑えて絞り出すような声で返した。


「はあ? アンタのことを心配して言ってんのよ!?」


片方の眉を吊り上げる彼女。

それに負けないように。


「そんな心配は結構です。私、絶対に叶えてみせますから」


目線が高い彼女を見上げて言いきった。



「アンタ生意気……!」



カッとなった目の前の彼女が右手を振り上げる。



ビンタされる!!!


思わず目をつむった瞬間。







ふわり……と、シトラスミントの香りがした――――。