地味子の秘密*番外編*

いつまで経ってもグループのセンターにいることには慣れない。

私、トークとか苦手だしバラエティ番組とかほとんどしゃべれない。

一生懸命やってても、後ろ指刺されることはある。

アンチと呼ばれる人だっているのも知ってる。


だけど、この世界に一度足を踏み入れたんだ。

できるところまではやってみよう。


そう思わせてくれるのは、まわりの一言なんだよね。


「何でもないですよ、そうですか。BKN48メンバーの彼氏になったら呪われちゃうんですね」


チラッと横目で隣にいる高瀬くんを見ると『なんだよ茅那』ってポツリと返ってきた。


彼も、応援してくれている人のひとりだ。

あんまり口には出さないけど……ひとつのお仕事が無事に成功して終わると一言『お疲れ様、よかったな』って言ってくれる。

それもうれしいんだけど。


なにより……高瀬くんと会う時は、アイドルじゃなくてフツーの女の子になれる。

杏樹ちゃんが前に言ってた『あたしはね、陸の隣だと仕事のことも家のことも忘れて笑えるの』って言葉は、本当だと思う。

彼女だって、大変なお仕事してるし、ましてや……神崎家のお嬢様だもん。

色々と苦労が絶えないんだよね。

そんな癒しの場所をくれる滝本くんのことはどんなことがあっても護るって言ってた。


その気持ちは私も一緒。

この関係が世間にバレたら、一番被害を受けるのは……高瀬くんだ。

それだけはイヤだから、絶対にどんなことが起きても護るよ?



その思いを込めてフッと高瀬くんに笑いかけると。


「なんだよ、その笑みは」


不思議そうな顔をして、私の額をツンッと指先で押した。


「痛いです」

「痛くした」


小さな声で抗議すると彼はシレッと顔を横に向ける。