「ね、この子みえてるの?」
「………うん」
「じゃあ…いっしょだ!おれもみえるんだよ!!」
男の子がニコニコしながら杏樹に話し掛けている。
しかし、娘の顔には、一切笑顔がなく……虚ろな目で雑鬼を見ているだけ。
「パーティーつまんないね」
「うん。」
「ケーキすき?」
「うん。」
「なら、なんであげちゃうの?」
“たべないの?”と男の子は続ける。
「……だって……わらってくれるんだもん………」
ゆっくりと途切れ途切れに返した。
男の子は意味がわからなかったらしく……首を傾げて不思議そうな顔になる。
「………あたしが………こわくないの………?」
ぽつりと杏樹が尋ねた。


