火だるまになるように、斉木の体を燃やす。
肝試しを始めた時のような面影は微塵もない。
肉が焦げるようなにおいが、鼻を刺した。
不快な臭気に、俺は顔をしかめる。
そして、さらにゾンビ化とした奴に反撃の時間を与える間もなく。
「東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は偶強。百鬼を退け、凶災を蕩えっ……急々如律令!」
杏は早口で呪文を唱え、右手の指先に挟んだ長方形の呪符を放った。
――ビュッ……
まっすぐに飛んだ呪符は……斉木の額に張り付く。
張り付いた呪符から放たれるまばゆいほどの光。
あまりに明るすぎて、目元を腕で覆う。
そして。
「くそっ……こんな最期なんてっ! あぁっ……ああああぁぁぁぁぁああ――――っ……!」
そんな断末魔とともに、奴は真っ赤な炎に焼かれて消えていった。


