時計からゆっくりと視線を彼女へと向ける。
ここに来るまでの彼女との会話を思い出した。
―「その斉木さんも、ここに運ばれたんだろうね」
―「うん、運ばれたよ」
―「何歳だったんだろう?」
―「19歳」
―「へぇー……俺らと同い年か。かわいそうにな」
言い方がおかしかった。
なぜ、断定して答えた?
『運ばれた』、『19歳』
フツー……さ、『らしい』という言葉がつくよな?
ヤツの言い方は……まるで、すべて見ていて、知っているような口癖だ。
「なぁ、ひとつ聞いていいか?」
「なあに、滝本くん」
「お前の名字、なんだ?」
問いかけると、ヤツはゆっくりと答えた。
「私の名前はね。……胡桃だよ。そう……斉木 胡桃」
サイキ クルミ。
ヤツの名前を聞いて、さすがに俺も背筋が凍る。
「じゃあ、お前が……」
「そうだよ。私が、斉木さん、だよ」
そう言った彼女を懐中電灯で照らした。


