地味子の秘密*番外編*

大きな瞳には、涙が浮かび…

樹里は取り乱していた。



「私が一人にしたからっ………」

「落ち着け」

「母親なのに……っ……」

「樹里!」




手を引き、会場の隅までくる。

手を握りしめて「大丈夫だ」と言い聞かせる。



杏樹は、一族最強の親父にも匹敵するほどの霊力の持ち主だ。

そんな簡単に変なことに巻き込まれたりはしない。


それに、杏樹は賢い子供だ。


このホテルから出ることはしないはず。




「手分けして捜すぞ」

「……っ…」


コクリと頷いた。





人目のつかない場所へ行き、大量に式を作る。



「杏樹を捜せ!」

そう式に命じて、ホテル中を捜させる。


俺も杏樹が居そうな場所を手当たり次第まわった。