パーティーに連れて来たことを早くも後悔し始めていた樹里。
もともと……人の多い場所が苦手らしい杏樹。
今日のことで、明日からますます“外”に出なくなるかもしれないという心配をしていた。
「樹里……早めに挨拶を済ませようか?」
「えぇ……そうね……」
夫婦二人で、ちびちびとケーキを口に運ぶ娘を見て……“早めに帰ろう”と決める。
杏樹が椅子にいることを確認して、パーティーに来ている重役達への挨拶まわりを始めた。
時間にして……大体20〜30分後。
大体の重役達への挨拶まわりが済み、樹里が杏樹を呼びに行く。
「散歩でもして帰るか………」
娘が好きなのは――…夜の散歩。
理由を聞くと、『だって皆に会えるから』。
皆――…唯一の遊び相手の雑鬼達。


