地味子の秘密*番外編*

杏樹の容姿は、親の俺が言うのもなんだが……


同じ3歳の子供達より、ずば抜けて大人びていた。



そのため…

パーティーの会場に入ると、あちこちで樹里が手を引く杏樹を褒める言葉をもらった。



しかし………


杏樹は静かで…笑わず、一言も喋らない。



パーティーはバイキング形式になっていた。


そこで樹里が、ケーキを数種類選んで…杏樹に渡す。


「ありがとう」と小さくお礼を言うと、会場の隅に置かれていた椅子に座り、食べ始めた。




ボーッと焦点の定まらない目。


伸びた黒髪がサラサラと揺れる。


目には光りがなく、伏せ目がちで……会場の照明で真っ白な頬に長い睫毛の影が出来ていた。




「渉……やっぱりダメなのかしら………」

「…………大丈夫だ。杏樹は」