≪彼女から直接聞きたい≫


電話の相手が言うので、ケータイをヤツに渡す。

目で、『言え』と訴えた。

涙目で、ケータイに向かって話しかける。


「社長……すみません、私、辞めます。お仕事キャンセルしてください……」



そういった後、社長は何も言わなかったのか、通話を切った。


ケータイを握りしめた茅那は、呆然自失。

宙を見つめ、涙が目にたまる。



「終わったな、お前の芸能生活。辞めたかったんだろ、言えてよかったじゃねーか。社長何か言ってたか?」


俺が尋ねると、首を横に振った。





「ほら見ろ。お前なんて、いても、いなくなっても同じなんだよ。明日のテレビは、何事もなかったようにスルーしていくだろ。代わりはいくらでもいる。よかったな」




フッと、笑って告げる。




その時、茅那は……これまでにないような絶望した顔をした。