地味子の秘密*番外編*

その時。


「普通の……女の子になりたい……」


泣きじゃくりながら、茅那が一言吐き出すように言った。



へぇ―――?

じゃあ、簡単じゃねーか。




「茅那」


名前を呼んで顔を上げさせる。


「たかせ……くん?」


ゆっくりと俺と目があった。


「じゃあ、やめれば?」

「え……」


「お前の代わりなんて、いくらでもいる。やめたって誰も困らない。芸能人なんて、そんなもんだろ。何百人と出て、どんどん消えてく。お前もそのうちの一人になれば?」


「え……あっ……」


「アイドルやるのが嫌なら、引退すればいいだろ。そしたら、もう何も言われない。フツーの女になるだけだ。それで、いいんじゃねーの?」



感情のない声音で言うと、茅那の目が見開かれる。


明日にでも、マネージャーに言えば?


『アイドルやめて、一般人になります』って。