地味子の秘密*番外編*

離れろ、と怒ろうと思った時。


「もーーヤダ……」


ボソッと、茅那が呟いた。


「もうヤダよ……やめたい。なんで、私なの。上手い子はいっぱいいるのに、私ばっかりセンターで……」


俺に抱きついたことで、タガが外れたのか。

ボロボロと流れる涙と一緒に、次々と話す茅那。


「センターが私だから、まわりから後ろ指さされるし……失敗したら笑われる。出来なかったら『所詮アイドルでしょ』って言われて、頑張っても頑張っても、小さなミスで叩かれる。陥れるために、平気でウソつかれる。陰でコソコソ言われるし……嫌がらせだって、もうヤダ。もともと自信ないのに、もっとなくなったよぉ」


そう言って、ワンワン泣き始める。


我慢していたモノがあふれだしたように。



コイツは、アイドルだ。

それも、今は国民的と言われるほどのアイドルグループのトップ。

いつもセンターで歌って踊っているが。

それは……相当の重圧があるんだろう。

グループの代表として見られるため、まわりの評価を他のメンバーより受けやすい。

また、大勢いる中から、センターを務めているから、ひがみや妬みも多い。

今にも蹴落とそうと、まわりは画策しており、常に緊張状態が続く。

自分の行動が常に見張られている。

それで失敗したら、散々叩かれ、ボロボロにされるってわけだ。

芸能界というところは、サバイバルだな。