17年前の10月21日。
俺達夫婦の間に、宝物を授かった。
それが杏樹。
俺の家は代々、陰陽師の家系で、杏樹にも継がせることは生まれる前から決まっていた。
正直……可愛い娘に壮絶な闘いをさせたくはなかった。
俺がこれまでに闘った妖怪達は、けして楽に倒せるものばかりではなかったからだ。
杏樹には普通の子供として育って欲しかったのだが―――…。
1歳になる頃……“力”の強さに一族全員が驚かされた。
1歳でもう妖怪が視え、触れることができ、祖父の真似をすると、霊力が使えた。
その霊力は…父親の俺を軽く凌駕し、一族最強の親父にも匹敵するもの。
孫娘のあまりの力の強さに、親父は喜んでいたが、それ以上に心配していた。
その心配は的中し―――…
杏樹は周りから敬遠されるようになった――――。


